こんにちは、「相続コンサルタントしゅくわ事務所」代表の宿輪です。
弊所は、開業以来相続専門の事務所としてたくさんの相談者の方からお話を聞いてきました。相続は、すべての人が当事者となる法律行為ですが、その内容を知る人は少ないのが現実です。知らないがゆえに、相続時にトラブルとなり、最悪の場合は親族間に遺恨を残す「争族」となってしまいます。
少しの知識があれば、トラブル発生となる前に対策が可能となります。「相続ワンポイント」では、皆さんに知っていただきたい相続の知識をランダムに解説しています。100を超えるタイトルがありますので、ぜひお役に立ててください。
弊所では、民事信託(家族信託)も積極的に取り扱っています。遺言などこれまでの民法では解決できなかった問題がクリアにできます。☞に小冊子ダウンロード版を用意していますのでご利用ください。
弊所の活動内容を、スライドを使って説明してみました。☞のユーチューブ動画も見ていただけると嬉しいです。
では、ワンポイントをどうぞ!
斜線引いた遺言書無効
遺言書の有効,無効が争われた裁判で最高裁判所の判決が出ました。
1、2審を破棄する内容でしたのでその理由が興味深いところです。
事件の概要
原告の父親は、1986年自筆証書遺言を作成した。
2002年死亡後、病院の金庫から遺言書が見つかった。
言書は用紙1枚で、左上から右下にかけて赤色ボールペンで斜線が1本引かれていた。
原告は、「遺言は破棄されたもので無効」と主張。
判決内容
1,2審:遺言書は有効
斜線を引いたのは父親と認定する一方「文字が判別できる状態であれば有効」
最高裁:遺言書は有効
「遺言書の文面全体に斜線を引くことは、遺言すべての効力を失わせる意思の表れ
で、撤回したといなされる」
私見
今回、最高裁の判断が示されたことにより、これが判例となるので今後はこれに沿った判断がされることになるでしょう。
しかし、斜線を引いたのが遺言者本人であると判断できることが大前提です。
文字と違い、斜線では筆跡鑑定など判断の難しい部分があるのではないでしょうか。
今回の裁判でも、父親の相続発生から13年の期間を費やしており、親族間の争いということもあり当事者の精神的,金銭的負担は大変なものであったでしょう。
このようなことにならないように、遺言者はその意思を明確に残すことが大事です。
例えば、自筆証書遺言を撤回するのであれば、シュレッダー処分で破棄などがお勧めです。
ただし、公正証書遺言の場合は、遺言者の手元にある「正本」を破棄しても
「原本」は公証役場に保管されていますので破棄したことになりません。
公正証書遺言を撤回するには、新たな遺言書を作成して前の遺言を撤回します。
(遺言は、新しい日付のものが有効となる)
新たな遺言は自筆証書遺言,公正証書遺言のどちらでもよいとされますが、やはり公正証書遺言でした方が良いと思います。
裁判で争ったあと、親族が元通りの関係になるのはまず不可能です。
裁判にならなくても、遺産分割協議でもめると、関係修復は難しいものとなります。
自分の財産をどうしたいのか、意思を明確に残し円満な相続を目指しましょう。
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