こんにちは、「相続コンサルタントしゅくわ事務所」代表の宿輪です。
弊所は、開業以来相続専門の事務所としてたくさんの相談者の方からお話を聞いてきました。相続は、すべての人が当事者となる法律行為ですが、その内容を知る人は少ないのが現実です。知らないがゆえに、相続時にトラブルとなり、最悪の場合は親族間に遺恨を残す「争族」となってしまいます。
少しの知識があれば、トラブル発生となる前に対策が可能となります。「相続ワンポイント」では、皆さんに知っていただきたい相続の知識をランダムに解説しています。100を超えるタイトルがありますので、ぜひお役に立ててください。
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弊所の活動内容を、スライドを使って説明してみました。☞のユーチューブ動画も見ていただけると嬉しいです。
では、ワンポイントをどうぞ!
花押は押印の代わりにならない
戦国武将が使っていた「花押」が、遺言書の押印として有効かが争点の裁判で、最高裁は
「花押は押印とは認められない」
として、遺言書は無効とする初めての判断を下しました。
裁判内容
琉球王国の名家の末裔に当たる沖縄県の男性が残した遺言書。
不動産などの財産を「次男に継承させる」とする遺言書に押印がなく、花押が記されていたため、長男と三男が遺言書は無効だと主張し、提訴していた。
1・2審では、「花押は、文書作成者の特定に使われてきた歴史があり、被相続人はこれまでも花押を使用しており、印鑑よりも偽造が困難」として、花押を員として認め、遺言書を有効と判断していた。
今回の最高裁では、花押が「書く」もので「押す」ものではないことを重視した。
「重要な文書は署名、押印して完結させる慣行がわが国にはある」と述べ、押印は民法の要件を満たさないと結論付けた。
サインが認められた例
昭和48年には、日本に帰化した元ロシア人の遺言で、押印がなくサインのみのものが有効という最高裁判決があります。
その際は
「約40年間日本に在住したが、主にロシア語と英語を使用して欧州式の生活様式で過ごしている。遺言書は有効とすべき。」との判断でした。
個人的には、被相続人が押印の代わりに花押を使っていた状況から、1・2審同様の最高裁判決になるものと考えていましたが、意外な判断でした。
ただし、最高裁判決が出た以上、押印(認印や拇印でも可ですが、実印を勧めます)が必要という要件は揺るがないと思います。自筆証書遺言を作成する際は、不備とならないよう十分な注意が必要です。今回の遺言でも、行政書士等の関与があれば、押印なしとすることはなかったと思われます。
亡くなった後、相続人が10年以上も裁判で戦う。そして、結果がどうであれ、親族関係は破壊されてしまう。争族対策の遺言書も、法的に不備があると意味がありません。
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