こんにちは、「相続コンサルタントしゅくわ事務所」代表の宿輪です。
弊所は、開業以来相続専門の事務所としてたくさんの相談者の方からお話を聞いてきました。相続は、すべての人が当事者となる法律行為ですが、その内容を知る人は少ないのが現実です。知らないがゆえに、相続時にトラブルとなり、最悪の場合は親族間に遺恨を残す「争族」となってしまいます。
少しの知識があれば、トラブル発生となる前に対策が可能となります。「相続ワンポイント」では、皆さんに知っていただきたい相続の知識をランダムに解説しています。100を超えるタイトルがありますので、ぜひお役に立ててください。
弊所では、民事信託(家族信託)も積極的に取り扱っています。遺言などこれまでの民法では解決できなかった問題がクリアにできます。☞に小冊子ダウンロード版を用意していますのでご利用ください。
弊所の活動内容を、スライドを使って説明してみました。☞のユーチューブ動画も見ていただけると嬉しいです。
では、ワンポイントをどうぞ!
分割前の遺産から得られた収入
遺産分割前の遺産から収入が得られた場合(遺産の賃貸住宅の家賃など)、その収入は相続財産になるのでしょうか?
そして、誰が取得することになるのでしょうか?
分割前の遺産
賃料などの収入は、相続開始時には存在しない財産ですので、遺産には含まれないとする見方が一般的です。
また、遺産分割前の遺産は、共同相続人の共有状態にありますので、共有財産から生み出された利益(財産)ということになります。
民法898条
相続人が数人ある時は、相続財産はその共有に属する。
民法899条
各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
民法909条
遺産の分割は、相続開始の時に遡ってその効力を生じる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
909条の立場であれば、遺産分割によりその賃貸物件を取得した相続人の権利は、相続開始時に遡って効力を生じるので、相続開始時からの家賃収入も物件を取得した相続人が取得することになります。
899条と909条はこの点で対立することになります。
最高裁判例(2005年)
「賃貸不動産から生じた賃料収入は遺産とは別個の財産であって、各共同相続人がその相続分に応じて取得し、この権利は後の遺産分割の影響は受けない」としています。つまり、民法899条の立場を採用しています。
909条で遺産分割の抗力は相続開始時に遡るとされていますが、共同相続の状態での権利取得は覆されないとしているのです。
・相続開始~遺産分割までの賃料=共同相続人が法定相続分に応じて取得
・遺産分割終了以後の賃料=賃貸物件を取得した相続人が取得
相続手続きは、長引くほどに面倒になりトラブルも発生します。早い解決を目指しましょう。
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