こんにちは、「相続コンサルタントしゅくわ事務所」代表の宿輪です。
弊所は、開業以来相続専門の事務所としてたくさんの相談者の方からお話を聞いてきました。相続は、すべての人が当事者となる法律行為ですが、その内容を知る人は少ないのが現実です。知らないがゆえに、相続時にトラブルとなり、最悪の場合は親族間に遺恨を残す「争族」となってしまいます。
少しの知識があれば、トラブル発生となる前に対策が可能となります。「相続ワンポイント」では、皆さんに知っていただきたい相続の知識をランダムに解説しています。100を超えるタイトルがありますので、ぜひお役に立ててください。
弊所では、民事信託(家族信託)も積極的に取り扱っています。遺言などこれまでの民法では解決できなかった問題がクリアにできます。☞に小冊子ダウンロード版を用意していますのでご利用ください。
弊所の活動内容を、スライドを使って説明してみました。☞のユーチューブ動画も見ていただけると嬉しいです。
では、ワンポイントをどうぞ!
相続登記義務化に国が本腰
所有者不明土地が増加し続けています。
これにより、公共工事や災害復興に大きな支障が出ており社会問題となっています。
所有者不明土地の最大の発生原因は相続登記がされないことによります。今は、任意とされる相続登記を、罰則付きの義務にする方向で法改正を進める方針が発表されました。
法務省は、2009年2月8日、所有者不明の土地が増えている問題を解消するため、民法と不動産登記法を見直し、2020年の臨時国会に改正案を提出したいとの考えを発表しました。
【所有者不明土地とは】
登記簿で所有者がすぐわからなかったり、所有者が判明しても連絡が付かない土地をしまします。
民間有識者の研究会の推計で、2016年で410万ha(九州本土=368万ha)。2040年には約720万ha(北海道本島=780万ha)となる見込みです。
所有者不明土地により、所有者を探す費用や工事の遅れなどが発生し、公共工事や災害復興にも大きな支障が発生しています。
【所有者不明土地の発生原因】
通常の売買であれば、業者が介在して、所有者の移転登記を即日実行します。しかし、相続の場合、移転登記には相当の費用が掛かりますし、登記をしなくても特段の支障もありませんので、そのままとなることが多いのです。
相続登記は、任意とされていますので、やってもやらなくても法律上問題は無いのです。しかし、いざ売却などの処分をしたいときになると、その時点の共有者(法定相続人)全員の同意が必要になり、トラブルになるのです。
相続登記が義務化されれば、この問題の解消に繋がるはずですが、どのような内容を考えているのでしょうか。
【改正案の骨子】
これから審議していく法案ではありますが、現時点でどのようなものを考えているのかも公表されました。
①相続登記の申請を義務化する。
登記しない場合には罰金を科す。
②遺産分割協議の期間を制限する。
一定期間が過ぎれば法律によって自動的に権利が確定する。
③土地所有権の放棄を認める。
④土地ごとに相続財産管理人を選任可能にする。
管理人制度を使いやすくして、自治体や企業などへの売却を促す。
以上のように、新たな不明土地の発生を防ぐ仕組みが中心となっています。
既に存在する九州より広い所有者不明土地の対策までは入っていないようです。
今後の、法案審議の動向を注視していきたいと思います。