上場株の相続
こんにちは、「相続コンサルタントしゅくわ事務所」代表の宿輪です。
弊所は、開業以来相続専門の事務所としてたくさんの相談者の方からお話を聞いてきました。相続は、すべての人が当事者となる法律行為ですが、その内容を知る人は少ないのが現実です。知らないがゆえに、相続時にトラブルとなり、最悪の場合は親族間に遺恨を残す「争族」となってしまいます。
少しの知識があれば、トラブル発生となる前に対策が可能となります。「相続百ポイント」では、皆さんに知っていただきたい相続の知識をランダムに解説しています。100を超えるタイトルがありますので、ぜひお役に立ててください。
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弊所の活動内容を、スライドを使って説明してみました。☞のユーチューブ動画も見ていただけると嬉しいです。
では、ワンポイントをどうぞ!⇩
株を相続したら
相続財産は、いろいろな種類があります。
少し前までは、不動産が人気の時代もありました。
しかし、今では不動産は一部の地域を除いて不人気です。
・価格が下がる可能性
・換金性が悪い
・維持、処分の手続きが面倒
・維持費がかかる ・・・
現金が一番人気です。
上場株はどうでしょうか。換金性は高いですが、相続税以外に税金が掛かることもあるあるようです。
【株式の相続】
株の相続には、2つあります。
①被相続人が経営者だった場合の、自社株の相続。
②被相続人が株式投資をしていた場合の、上場株式の相続。
①は、単なる財産としての相続ではなく、事業承継の話しになります。
②の上場株は、財産としての承継になりますので、こちらについて考えてみます。
【上場株の評価】
相続財産の相続税課税評価額は、原則として相続発生時の評価額です。
上場株式は、毎日の取引価格が公表されますので、原則からすると相続発生時価格ということになります。しかし、株式は価格の上下が大きいこともあり、以下の中から一番低い価格で評価することができます。
・課税時期(相続発生時)の終値
・課税時期の属する月の毎日の終値の平均値
・課税時期の属する月の前月の毎日の終値の平均値
・課税時期の属する月の前々月の毎日の終値の平均値
課税時期(相続発生日)の終値がない場合には、課税時期前後で最も近い日の値。
株式を相続した場合、実際には売却して初めて現金になり、上記評価額とは大きく違う金額になることもあります。評価額500万円で相続した株式が、1000万円になったり200万円になったりするのです。
あくまでも相続税の評価として、決められた価格です。
【売却時の税金】
株式を相続した場合には、被相続人の株式取得額も相続します。被相続人が100万円で取得していた場合は、相続した者は、その株式を100万円で取得したことになり、売却時にはこれで譲渡所得を計算されます。相続税課税評価額で取得したものと勘違いする人が多いので注意してください。
例)相続税評価額800万円 被相続人の取得額100万円の株式を5年後に400万円で売却した。
売却益=400万円ー100万円=300万円
800万円で相続した株が値下がりし、400万円損をしたような気分になりますが、
100万円で取得した株を、400万円で売却しているので300万円の利益を得たことになるのです。
売却益は、譲渡所得となり所得税と住民税で約2割(60万円)の課税がされます。
さらに、所得が増えることで社会保険料なども上がることがあります。
【現金と株どっちを取る?】
株式はリスク財産です。上記のように値下がりすることもありますが、大きく値を上げることもあります。どちらが得とは言い切れません。後の手続きを考えると、株に慣れている人が株式を相続するのが安心ではないでしょうか。