昔は争族が少なかった。
こんにちは、「相続コンサルタントしゅくわ事務所」代表の宿輪です。
弊所は、開業以来相続専門の事務所としてたくさんの相談者の方からお話を聞いてきました。相続は、すべての人が当事者となる法律行為ですが、その内容を知る人は少ないのが現実です。知らないがゆえに、相続時にトラブルとなり、最悪の場合は親族間に遺恨を残す「争族」となってしまいます。
少しの知識があれば、トラブル発生となる前に対策が可能となります。「相続百ポイント」では、皆さんに知っていただきたい相続の知識をランダムに解説しています。100を超えるタイトルがありますので、ぜひお役に立ててください。
弊所では、民事信託(家族信託)も積極的に取り扱っています。遺言などこれまでの民法では解決できなかった問題がクリアにできます。☞に小冊子ダウンロード版を用意していますのでご利用ください。
弊所の活動内容を、スライドを使って説明してみました。☞のユーチューブ動画も見ていただけると嬉しいです。
では、ワンポイントをどうぞ!⇩
旧民法では争族が少なかった
ここでいう昔というのは、昭和22年5月2日以前のことです。
昭和22年5月3日に、新しい憲法が施行されました。それにより、民法も変更になったのです。
旧民法では、現在のような財産をめぐる相続トラブルの発生は、少なかったようです。
【相続トラブルの原因】
相続100ポイントで何度も言っていますが、トラブルの原因の一番は、遺産分割協議です。
離れて暮らす相続人全員が、遺産の分け方を話し合い合意しなければ相続が進みません。相続人それぞれ考えは違い、経済状態も違いますので、合意を形成するのが難しいのです。
対策として、民事信託や遺言で財産の処分方法を本人が明確にすることが効果的ですが、面倒だとか、費用が掛かるとか、死ぬことを前提の手続きを避けたいことから、上記の状態となってしまう例が多いのです。
【旧民法では】
旧民法では、家というものを中心としていました。一人の戸主が家の財産を所有し、家を守ります。
戸主が死亡したときには、一人(長男など)が家督相続するのです。一人ですべてを相続しますので、遺産分割協議などありません。遺産を分割しませんので、家の財産が分散せず、家が守られるのです。
商売などをしていた場合でも、一人で相続となりますので、現在のように株式が分散して経営がおかしくなるなんてこともないわけです。100年以上続く企業が、日本に集中しているのは相続による事業承継トラブルが少なかったのが理由といわれています。
さらに、相続税率も低く設定されていました。
(2%程度ということを聞いたことがあります。現在は最高55%。
明確な数字を見つけることができませんでした。悪しからずご了承ください。)
【隠居】
旧民法では、遺言が無くても争族は発生しづらかったのですが、さらに認知症による財産管理の問題も起きにくい制度がありました。
隠居制度です。
60歳になった戸主は、隠居することが認められていました。生前に家督相続をして、全財産を新しい戸主に移転するのです。
現在そのようなことをすると、相続税よりも効率な贈与税を課税されます。
財産を手放して身軽になりたくてもできず、相続により財産を移転することになります。
死亡するまで所有者であり続けるので、認知症になると財産が凍結されて、家族の生活に支障が発生するのです。
旧民法では、60歳になったら生前に相続できますので、認知症による財産管理の問題もほとんどありませんでした。
昔が全てよかったといいたいわけではありません。昔のルールでは争族は少なかったということです。
争族は少ないですが、富が集中し経済格差は固定するように思います。
相続時に、富を分配(遺産分割や相続税)するのはいいことのように思います。ただし、争族とならないようにしたいのです。
民事信託(家族信託)や遺言をつかって、円満に財産の承継を進めたいと考えます。
信託を使うと、隠居に近い財産管理も可能になります。