教教育資金贈与税非課税措置の2021年改正
こんにちは、「相続コンサルタントしゅくわ事務所」代表の宿輪です。
弊所は、開業以来相続専門の事務所としてたくさんの相談者の方からお話を聞いてきました。相続は、すべての人が当事者となる法律行為ですが、その内容を知る人は少ないのが現実です。知らないがゆえに、相続時にトラブルとなり、最悪の場合は親族間に遺恨を残す「争族」となってしまいます。
少しの知識があれば、トラブル発生となる前に対策が可能となります。「相続百ポイント」では、皆さんに知っていただきたい相続の知識をランダムに解説しています。100を超えるタイトルがありますので、ぜひお役に立ててください。
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では、ワンポイントをどうぞ!⇩
教教育資金贈与税非課税措置の2021年改正
子供の将来のために、高度な教育を受けさせたいのが親の願いでもあります。
しかし、今の日本では個人資産の2/3程度は60歳以上が保有しており、親世代には教育に使える資金は少ないのが現状です。
そこで、祖父母から孫の教育資金援助に贈与税非課税の特例が制定されています。2021年3月までの予定でしたが、2年延長され内容の見直しも実施されました。
【特例の概要】
祖父母などから教育資金の援助を受けた場合、贈与税を非課税とする特例。
①口座開設と資金入金
・教育資金贈与の取り扱いのある銀行・信託銀行で契約・口座開設
・贈与者が口座に資金を入金(max1500万円)
・税務署あて申告書を金融機関経由で提出
②教育資金の払い出し
・受贈者が金融機関から教育資金を払い出す
・受贈者は領収書等を提出
③終了
・受贈者が30歳に到達した場合
・受贈者が死亡した場合
・口座残高がゼロになり口座契約終了に同意した場合
(残高がある場合、相続財産に加算)
【改正内容】
節税目的の利用を防止する観点から、課税対象が拡大された。
①改正前) 贈与者の相続開始前3年以内に贈与された一括贈与の残額が、贈与者の相続財産に加算。
改正後) 「3年以内」の制限がなくなり、贈与者の死亡時点での残額全部が相続財産に加算
②改正前)祖父母から孫への教育資金一括贈与による贈与財産の残額が相続税の対象となった場合、
相続税2割加算の対象外
改正後)2割加算の対象
このように、相続税の課税強化を狙った改正内容となっています。
【民事信託で教育資金援助は可能】
教育資金一括贈与の非課税特例は、贈与税を免除するから祖父母の資金を若い世代が使ってほしいという制度です。
もともと、孫に必要な教育資金を祖父母が援助することは、扶養の範囲とされており贈与税は非課税です。必要な都度援助すればよいのです。しかし、祖父母が認知症になれば、援助を続けることができません。
民事信託(家族信託)を使い、子を受託者として孫に教育資金を必要に応じて給付すれば、贈与税は非課税
となります。信託であれば、委託者本人も受益者なれますから、認知症になった後の生活費の管理も併せて受託者に任せることも可能です。
特例では、教育資金として認められる費用に細かな制約がありますが、民事信託(家族信託)なら、受託者が信託目的に沿うものであるかの判断で支出できます。自由度が高く、委託者の希望を叶える資産の活用が可能となります。