未登記建物を相続
令和6年4月から、相続登記義務化となりました。
それに伴い、相続登記を依頼する方が増えています。
相続登記は、司法書士の業務ですが、その手前の手続きである相続人確定から遺産分割協議書作成までは、行政書士がサポートしますので、よろしくお願いします。
ところで、自宅を相続登記しようとして、登記簿を出すと土地はあるのですが、建物の登記がありません。ちゃんと固定資産税の通知は来ているし、滞納なく納税もしています。土地の所有者は20年前に亡くなった父親です。家も父が40年くらい前に建てたものです。登記が出ないってどういうことでしょうか?
【未登記建物はザラにある】
不動産を取得すると登記簿の所有者の欄に所有者として記載されます。これにより、第三者に対して、この不動産が自分の物であることを主張できることになります。例えば、不動産を売却する場合には、買主は登記簿で所有者を確認して、所有者と売買契約をすることで不動産を手に入れることができます。
この登記ですが、土地はもれなくされています。しかし、建物は登記していない物が結構あります。
銀行などからお金を借りて家を建てた場合は、支払いが滞ったときには銀行がお金を回収するために「抵当権」を設定します。抵当権は登記簿の権利部というところに記載されます。ですから、お金を借りて家を建てた場合には、登記がされます。
しかし、現金一括払いで家を建てた場合には、抵当権を設定することはありません。つまり、登記をしないと困る人はいないということです。
実は、不動産登記法で、建物を取得してから1か月以内に建物表題登記をしなければならないと決められています。10万円以下の過料という罰則も設定されています。・・が、この過料を課されたという話は聞いたことがありません。
建物登記は、土地家屋調査士に表題登記をしてもらい、司法書士に権利部を登記してもらいます。面倒だし、費用も掛かります。ということで登記をしない建物が生まれることになります。
【未登記で困ること】
未登記だからと言って、違法な建物ではありません。市町村の建築許可をちゃんと取得して、固定資産税も課税されています。法務局管轄の登記は無くても、市町村管轄の課税台帳には掲載されているのです。役場で取得できる「名寄帳」を確認すれば、未登記の建物についても、床面積や評価額などしっかりと記録されています。しかし、未登記の建物には家屋番号が記載されていません。ここを確認することで、未登記の建物がわかります。
未登記で困るのは、第三者に所有権を主張したい場面です。
建物を売りたいときに、相手にこれが自分の物であることを主張するためには登記が必要なのです。逆を言えば、第三者に所有権を主張する必要が無ければ、登記の必要性もあまりないということです。
【未登記の建物 登記する?】
法律の専門家としては聞かれたら「法律に則って登記はしなければなりません。」というしかありません。
しかし、相続で古い未登記建物を取得して、売ることは考えられないし、将来的には解体撤去する予定という状況であれば、登記しなさいとは言いません。
だって、お金をかけて登記をして、解体工事した後に建物滅失登記をする。・・って、一般的な見方をすれば、もったいないですよね。
でも、まだまだ使える建物で、将来は売却してお金に換えたいと考えているのであれば、早めに登記をした方が良いでしょう。遅くなるほどに難易度が高くなるのが普通ですので。